まつブロ

思考の渦

Netflix「グレイス&フランキー」がハチャメチャすぎた話。

Netflixドラマ「グレイス&フランキー」シーズン4まで見終わった。

観る前は全く眼中になかったのに

なぜか一気見してしまった本作品をレビューしたい。

ビバ!1話20分!見やすい!

 

メインキャラクターは、70代前半の夫婦二組。

この夫達が長年ゲイ不倫をしていたことをカミングアウトし、

残りの人生も少ないから正直に生きたい…という事で結婚したいと言い出す。

色々あってその妻たちがひとつ屋根の下に住むことになる…。

その妻たちがグレイスとフランキーなのだが、この二人の相性がもう最悪。

というのが物語の始まり。

 

私はこう、もっと、シリアスで静かで、どぎつい現実を突き付けてくるような、人生を学ぶような感じのストーリーかなと思って見始めたんです。

しかし、それが完全に裏切られた

元気。元気。70代まだまだ元気じゃん!!

完全にアメリカノリのハチャメチャコメディーでした。

もうとにかくずっとうるさいし、常に何か起きてる。トラブル続き。

グレイスは、常に何かしら動いて誰かに文句つけてないと気が済まないような超カタブツ。

フランキーは、自由を愛するヒッピー気取りの超ゆるゆるマイペース。

現実ならこの時点でもう絶対に無理

ストーリーに穴はありまくりで現実感もないし、

この二人が同居するまでのプロセスも陳腐だったし。

だけどこれはショーであり夢を売っているドラマだから。

なんてブツブツ文句を言いながら、心のどこかでつまらないと感じながら、

しかも70代のカップル、ストレート・ゲイ問わずキスシーンやベッドシーン(当然軽め)も出てくる。

正直、お、おう…どぎついな…思うこともある。

な、なのになんで見るのを止められない?!

少し自分なりに分析してみた。

 

まず何より普段あまりスポットライトが当たらない高齢者が主人公だ。

更に高齢のゲイカップルもメインキャラクター。

でもやってることが若者と変わらないハチャメチャなノリ。

心は若いままなのに、身体だけが老いている状態。

そして普段我々が目をつぶろうとする

高齢者の性に関してもかなりオープンにしながら話が進んでいく。

とにかく、「こんなの見たことなかった」の連続。だからつい見てしまう。

そして何よりこの話のベースは常に家族

このメインキャラクターの娘、息子もアクの強いキャラクターばかり

でも見ていたら絶対に好きになる

そしてあたたかい。

フルハウスで育った世代としてはこのノリに安心するのだ。

フルハウスに限らず日本でもサザエさんちびまる子ちゃんクレヨンしんちゃん

やっぱり人って家族モノにはどこか安心感を覚えるのかもしれない。

70代が主人公となると、娘、息子目線でも楽しめるし、自分もいつかこんな日が来るのか…など

色んな視点で楽しめるのがこの作品がヒットした理由だろう。

 

とりあえずシーズン4まで見て一番この作品で感じたことは、

70代であっても、考えている事、感じている事、

くだらない悩み、深刻な悩み、めんどくせえ人間関係、

楽しい事、やりたい事、ハッピーな事、

そういうのが全部、我々と何も変わらない、という事だった。

老いているからと言って彼らが悟りを開いているわけではなくて

くっだらねえことで嫉妬したり、悩んだり、怒ったり、喜んだり、

私からするとめんどくっせえことの連続。

でもそれこそが生きているって事なんだな

ってことを非常に強く感じました。

そして人間いくつになったってみんな未熟

年寄り=成熟した人間、というわけではない。

みんなそれぞれに未熟で未完結。

生きているんだから、生を謳歌しようとする

それには何の罪もない。

若い世代がつい言ってしまいがちな

「年寄りなんだから」とお年寄りを隅に追いやってしまう感覚がいかに馬鹿馬鹿しいか。

歳を取ったってまだまだ人生の主人公。

家族ドラマではたいがい脇役なお年寄りだけど、お年寄りだって主人公になれるし、

生きている限り青春は続けられる。

老いるって、やっぱりこわいし嫌だし常にネガティブなイメージが付きまとう。

でもその現実を笑い飛ばしてポジティブに、そしてクールに演出している。

そういった意味ではやはり革命的なドラマであることには間違いないなと思っております。

 

ここからは少し正直に言うと。

あのドラマが見せる理想の老い方というのはとてもアメリカ的で、老いに反抗する感じがある。(特に女性達)

私からすると、日本人的かもしれないけれども、老いや変化を受け入れていくことも人生の過程としておもしろいし美しいと思ったりするけど。

そのうえで生を謳歌することだってできるぞーと思ったりもするけど。

せっかく高齢者がメインキャラクターなのに

そういう美しさが表現されていないのはちょっと残念に感じた。

まあアメリカのドラマだし。笑

そういった文化や感覚の違いも楽しめるし刺激になっておもしろいのかもしれない。

日本から、高齢者が主人公のラブシーンありのドラマができるのはいつだろう?

楽しみですなあ。

 

さて、最後に。ひとつ驚いたこと。

ドラマを見終えて、メインキャラクター達の設定は70代前半だけど

役者さんたちは一体何歳なんだろう?とふと思う。

(ちなみにハリウッド俳優に疎いので全員知らず)

いっても全員60代後半くらいかなあと予想し、調べてみた。

が。

以下が真実でした…(2018年現在)

 

グレイス役:ジェーン・フォンダ(80歳)

フランキー役:リリー・トムリン(78歳)

ロバート役:マーティン・シーン(77歳)

ソル役:サム・ウォーターストン(77歳)

 

え?!まじで?!みんな役年齢より上?!

ていうか特にグレイス役の人、80?!

彼女なんなら60代前半にさえ見えるんですけど…

つまり全員太平洋戦争の時にはもう生まれてたってことだよね…

 

恐ろしい、アメリカ。わかい、見た目年齢若すぎるだろ…

しわ取りは確実にやってるけどそれにしたって…

これを知ってから急に

その年齢であれだけハチャメチャなセリフ量、

しかも毎回叫ぶようなうるささ声量、

さらにあんなに動きの多いシーンをこなしていると思うと、

もはや老人虐待にさえ思えてくるというか、

死を扱う場面も多々出てくるのだけれど、

ある意味、本当に彼らとクルーは死や老いと向き合いながら撮影している

ということを感じざるをえない。

これぞプロ根性。

役者として魂かけてやっているんでしょうね。

アッパレ大尊敬。

 

興味があれば実年齢と照らしてぜひ見てみてください。

 

以上ここまでーおわりー